#27 ご褒美に、旅のお供に、人があつまるお祝いに。
エクレアと焼き菓子の店「eclairer」で、幸せスイーツをテイクアウトしたい。
ながーーいエクレア、食べたことありますか?その長さ、約20cm。独り占めしてもいいし、みんなでシェアしてもいい、そんなエクレアを作っているのが、能登川に店を構える「eclairer(エクレレ)」です。オープンしてから約10年が経っても、客足の途絶えない人気スイーツ店の魅力に迫ります。
食べる人の気持ちをイメージして生まれた、細長いエクレア
能登川駅から徒歩4分ほど行くと、住宅地のなかに突如現れる建物。クリニックをリノベーションしたという建物に入ると、店内のショーケースに並ぶカラフルなエクレアたち。常時10種類以上のラインナップが並んでいます。常に新鮮な驚きを楽しんでほしいと、用意されている季節の限定商品に毎年同じ商品は基本的にありません。これまでに生み出したメニューは50種類を越えるといいます。他にも焼き菓子も充実していて、まさにスイーツ好きにはたまらない空間でしょう。
「プリンとショートケーキとシュークリーム、この3つが美味しいスイーツ店は間違いない。これは、僕自身が大のスイーツ好きで、自分が行きたい店を選ぶうえで大事にしているポイントだったりもします(笑)。店のオープンが決まり、他店との差別化を考えた時に、上記の3つ以外で勝負できるアイテムはないかと考えました。そのときに飛び出してきたアイデアが、エクレアでした」と店長の西村俊さんは話します。
ただのエクレアでは面白くない、と考えた西村さん。スイーツを食べるシーンを思い浮かべて生み出して作り出したエクレアには、たくさんの魅力が詰まっています。まず「eclairer」のエクレアの特徴のひとつに、形があります。「例えば女性がエクレアを食べるときに、クリームがはみ出ずにパクッとスマートに食べられるように、口のサイズに合わせて細くアレンジしています。またギフトやお持たせにしたときにも人とシェアできるように、長さも出しました」
そしてもう一つのこだわりは、そのライトな味わいです。「フランスの古典的なエクレアは、こってりした甘さがあるのでずっしりと重い食後感があります。そうではなく、いつでも気軽につまめるような軽快さを出したい。そこでカスタードクリームに生クリームを混ぜて、甘すぎない味わいに仕上げています」
さすが、自称スイーツ男子の西村さんだからこその視点。こうして、かわいらしく食べやすいエクレアが完成したのです。
細やかな作業こそ丁寧に。幸せな驚きを提供したい
店長の西村さんは、元々家具メーカーに勤めていたという経歴の持ち主。物心ついたときからものづくりに興味があったといいます。「勤め人だった頃に、残りの人生は自分のやりたいことに費やしたいと考えたことがありました。しかも僕は甘いものが好きだし、ものづくりもしたい、それならパティシエは一石二鳥じゃないか!(笑)と一念発起しました。25歳の頃ですね」
メーカーを退職して、夜間の調理師学校で技術を学び、大阪のスイーツ店で修行を積み、地元である滋賀県に帰省。いつかパティシエとして働くなら地元で、という想いはかねてよりあったそうです。
オープン当初、お客として想定していたのは、若い女性だったそうですが、蓋を開けてみると老若男女が訪れる店に。向かいに小学校があるためか、子ども連れで買いに来る親世代も多く、誕生日やクリスマスなどのハレの日には、男性が訪れることもあるのだそう。
華やかなビジュアルは、箱を開けたときの“わぁー!”という感動を高めるため。
「幸せな驚き、と僕らは呼んでいます。スイーツは人を幸せにしてくれるものだから。僕らのエクレアもそういう存在でありたいです」
人気メニューは、オープン当初からある「バナナチョコ」。屋台で売られているバナナチョコを再現したいと、西村さんがこだわった商品の一つです。ミニチュアバナナを1本1本丁寧にコーティングしているところがミソで、チョコのパリパリ食感が際立っています。
「ラムレーズン」は、ラム酒を使った少し大人向けのスイーツ。熟成したダークラムとレーズンの甘酸っぱさが、甘さ控えめのカスタードと絡み合います。まるで和菓子のような「抹茶あずき」も、あんこ好きの西村さんのお気に入り商品。あえて無糖の生クリームを使用することで、小豆の甘みが引き立つようにアレンジを加えています。
シンプルにみえるエクレアですが、商品の一つひとつに、細やかな気配りがほどこされているのです。
「他とは違う、少し変わったものを作りたい。細やかな作業をめんどくさがらないことが、ポリシーですかね」と微笑む西村さん。例えば、キャラメルナッツのトッピングも、わざわざ一度キャラメルをコーティングしたナッツを作り、それを崩して粉々にするなど、一手間を惜しみません。
「家で作れないものを作るのが、専門店の役目。自分が食べて納得できるものでないと嫌ですし、何よりもうちの店でしか食べられない商品を提供したいんです」
エクレア片手に、琵琶湖を巡る旅の想い出を
エクレアに使われている滋賀県産の小麦粉は、美味しいものを追求した結果。「地産地消をあえて謳うのは苦手です。でもほしい商品を探したときに、滋賀県産の食材に出合うことがとても多いです。風土が豊かで食材の質が良い。こんな土地は他にそうそうないのではないでしょうか」
商品アイデアは、日常のなかで着想を得ることがほとんど。パティシエになって、甘いものと向き合う時間もさらに増えたと西村さんはいいます。今後お惣菜系のエクレアやスパイスを生かしたエクレアなどにもチャレンジしたいと、商品開発のアイデアはまだまだ尽きません。
また2023年2月には、近江八幡にも新店舗をオープン。酒蔵をリノベーションした建物の一部を間借りして運営され、エクレレの皮で培った焼き技術を生かしたパンとカフェのお店です。
エクレアの敷居を高くせずに、みんなに気軽に楽しんで食べてもらえるスイーツでありたいと話す西村さん。ぜひおすすめしたいのが、テイクアウトしてアウトドアスイーツを楽しむ時間です。湖岸道路を車で走りながら、お気に入りの場所で停車して、琵琶湖を背景に食べる屋外スイーツは、きっと旅の想い出のひとつになってくれるはず。スイーツは特別な日だけじゃもったいない、日常のワンシーンをそっと華やげてくれる楽しい存在。パクッと頬張ればたちまち幸せになれるエクレアをみんなでシェアして、幸せのお裾分けをし合うというのはいかがでしょう?
Information
Eclairer(エクレレ)
滋賀県東近江市垣見町754(Google Map)
営業時間:10:00~18:00
店休日:水曜日・木曜日
TEL:0748-43-6225
MAIL:eclairer.eclairer@gmail.com
※上記は2023年6月1日現在の情報となります。