#54 近江八幡まちや倶楽部に生まれた「RICHLABEL 832」。
若き起業家が見つけた「ブレンド蜂蜜」の魅力とは?

ぶんぶんぶんと蜂が飛ぶ。見た目は可愛くも、刺されると痛い蜂ですが、古代より人間の生活に密接で、農作物の受粉を手伝う役割を担い、食の根幹を支えてきました。そんな蜂の存在に感銘を受け、その蜂から採れる甘くて美味しい蜂蜜の美味しさに魅了された、谷口晟士さん。「RICHLABEL 832(リッチレーベル)」というブランドを立ち上げ、ブレンド蜂蜜という手法を通して、新しい食の提案を行っています。

養蜂家との思わぬ出会い。

 

小京都としても知られる、近江八幡の街並み。歴史と文化が息づく近江商人の街として栄えた街には、日々多くの観光客が訪れます。

 

近江八幡市旧市街の一角にある「近江八幡まちや倶楽部」は、町家等の保全と活用を通じた地域の賑わい創出を目的にしたプロジェクト。以前に取材させていただいた「Going Nuts!」など、さまざまな店舗が立ち並ぶ施設の中に、2022年にオープンしたのが、「RICHLABEL 832」です。

 

道路沿いにある店内から見える、ずらりと並んだ蜂蜜の瓶・瓶・瓶。美味しい蜜に引き寄せられた蜂のように観光客がお店を訪れています。「巣箱にいるようなイメージです。光に当たった時の色味がすごく綺麗で、ぜひ取り入れたいと思いました」と話すのは、株式会社CARAVANの代表取締役・谷口晟士さん。もちろん全部本物の蜂蜜。その重さは500kgくらいあるのだとか。

 

店舗デザインは谷口さんが自ら行ったという、思い入れのある店構えです。もともとデザインへの造詣も深い谷口さんですが、どのようなきっかけで、「RICHLABEL 832」ブランドを立ちあげることになったのでしょうか?

 

「学生の頃に、滋賀県長浜市の地域活性化プロジェクトに関わった時に商品の販路開拓やデザインに携わり、マーケティングの重要性や面白さを知りました。それから漠然と起業したいと考えながら勤めていました。縁のある滋賀県で活動したいと思っていたところ地域おこし協力隊という制度を知り、一念発起して飛び込みました」と谷口さん。

 

2020年に滋賀県に移住。地域おこし協力隊として、近江八幡の商店街活性化に取り組み始めたことで、近江八幡まちや倶楽部の店舗の方々と接点が産まれるようになっていきます。その時にはまだ蜂蜜には出会っていなかったといいます。

 

「異業種交流会に参加した時に、滋賀県の養蜂農家に出会いました。彼は同年代で、週末だけ農業をするというスタイルでした。その彼の蜂蜜の話は、聞けば聞くほど目から鱗でした。それまであまり食べることもなかったのに、なんてポテンシャルのある食べ物なんだと気付かされました」

 

抗菌作用もあり、栄養価も高い、世界中で昔から食べられている甘味料。黄金の液体として見た目もとても美しい……。これまでなんの気無しに側にあった蜂蜜がキラキラと輝いて見えたそうです。「蜂蜜のバックボーンに惹かれました。同じ甘味料で考えても、砂糖はサトウキビ畑を作るために森林伐採の問題が問われますが、蜂蜜は、ミツバチが受粉するための副産物。地球環境を守るためにも、人間に必要な生き物であり食べ物なんです。蜂蜜を売れば売るほど、人間の役に立つビジネスだと感じました」と谷口さん。これなら営業する時も自信を持って販売できる、そう確信したタイミングでした。

 

2種類の「ブレンド蜂蜜」を探す旅

それから、商品製作がスタート。仕入れ先は特に限定せず、さまざまな生産地の100種類以上の蜂蜜を取り寄せて食べ比べます。仕入れていたのは、単花蜜。1種類の花から採集された蜜を指します。クローバーとかマヌカなど、各蜜源となる花ごとに風味がはっきりしている蜂蜜になります。いわゆるシングルオリジンですね。

 

「単花蜜は個性が強いので、もう少し食べやすい味わいを目指したオリジナルブレンドを探していました。何を隠そう、僕自身がもともと蜂蜜の食べた後の味わいが苦手だったので、それを回避できる味わいを探したくて(笑)。チームで食べ比べをする中で、これは美味しい!と思える3種類のブレンドが完成しました」

 

ブランド名は「832」と、あえて世界共通の数字でインパクトを。「RICHLABEL」は、生活にリッチなラベルを付けたいという思いから、健康や社会的背景やデザイン的な背景から、生活の豊かさを蜂蜜から提案したいという想いが込められています。

 

そこからはさらなるリサーチ。料理人に意見をもらったり、マルシェ出店をして売れ行きをみたりして、最終的に2種類に絞りました。一つはフルーティブレンド、もう一つはディープブレンド。どちらももちろん無添加です。


※写真提供:RICHLABEL 832
(写真上)フルーティブレンド (写真下)ディープブレンド

 

「フルーティブレンドは、アカシヤとオレンジの花の単花蜜をブレンドしています。さっぱりして食べやすく、特有の後味が抑えられています。一方のディープブレンドはオレンジの花と蕎麦の花の単花蜜ブレンド。蜂蜜専門店でも蕎麦の花はなかなか手に入れられないのですが、食べ比べしたときに、衝撃を受けましたね。蕎麦の蜂蜜はかなり癖があるのですが、それに色んなブレンドをしたらめちゃくちゃ美味しく変化してくれるんです。尖ったものが中和することで食べやすくなる代表作ですね」

 

フルーティブレンドは、「朝の蜂蜜」として提案。パンやヨーグルトに合わせると良く、一般的な蜂蜜のイメージに沿っています。実は、スペアリブや豚の角煮、煮物系に合わせても美味しいのだとか。一方、ディープブレンドは「夜の蜂蜜」。酸味と塩味に合う味わいで、生ハム、ナッツ、ゴルゴンゾーラピザにかけると、お酒のお供にぴったりだそう。ぜひご自宅で試してみてくださいね。


※写真提供:RICHLABEL 832

 

日本の蜂蜜の可能性を広げたい

養蜂家との出会いがきっかけとなって誕生した蜂蜜ブランド「RICHLABEL 832」。谷口さんは、蜂蜜を通して、蜂蜜の美味しさを伝えるだけでなく、社会と環境の共存に貢献する蜂蜜の存在価値を高めていきたいとも考えています。

 

「蜂蜜を砂糖に並ぶ甘味料に引き上げることが目標。ビジネスを立ち上げる上で、自分が自信を持てる商品であること、社会のためになるサービスであることは重要なポイントでした。その点、蜂蜜は人類史とともに歩んできた甘味料で意義があることでもあり、ブレンド蜂蜜が売れることは、養蜂家を支えることにも繋がります。体にも良くて地球にもいい。『RICHLABEL 832』を通して、蜂蜜の可能性と認知を広げていきたいですね。近江八幡という日本文化を象徴する歴史的建造物『まちや倶楽部』に拠点があることも誇らしく思っています」と視座の高い谷口さん。

 

店舗では、蜂蜜を使ったスイーツやコーヒーのテイクアウトも行っています。実際に2種類のブレンド蜂蜜を試食させていただいてみたら、びっくり。本当に2種類の味わいがそれぞれ異なっていて、どちらも美味しい。ブレンドをすることでこんなに味わいが変わるんだと感じました。確かに、常温で保存も利くし、優しい自然派甘味料ですよね。

 

今後は、料理に使えるブレンド蜂蜜の開発にも取り組んでいきたいと、意欲満々の谷口さん。これからの動向に注目したいですね!

Information

RICHLABEL 832

滋賀県近江八幡市仲屋町中21 まちや倶楽部内(Google Map
営業時間:11:00〜17:00
定休日:火曜日、水曜日、木曜日

 

※上記は2024年10月1日現在の情報となります。

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